猫に育毛剤は危険です‼

【PR】この記事には広告を含む場合があります。

猫に絶対NG!ミノキシジル中毒の海外での実症例と動物病院の情報

育毛剤でよく使われている「ミノキシジル」という成分。

猫にとっては少量でも最悪の事態を招いてしまう可能性がある有害成分です。

自分が使っていないからと油断していると、知らないだけで両親が使っていたり、はたまたこっそり兄弟が使っていることもあるかもしれません。

塗布したその手で髪を触り、ドアノブを触り、そのドアノブを愛猫をなでるあなたが触っているかもしれません。床に垂れた一滴が愛猫の足についたり、なめてしまうなんて可能性さえあります。

そんなミノキシジルについての情報を、海外のサイトや論文、国内の動物病院での情報などを調べてまとめました。

愛猫との幸せな暮らしのために、正しく理解して予防、対策を行っていきましょう。

ミノキシジル中毒における猫の症状の中等度以上の割合
猫のミノキシジル中毒の中等度以上のときの死亡率

意外と身近なミノキシジル配合の製品

実物の育毛剤

ミノキシジルが使われている育毛剤は、様々なメーカーから発売されていて、ネットで検索すると多くの製品が出てきます。

海外製品と合わせればさらに多くの製品があり、私たちの身近にはたくさんのミノキシジル製品が存在しています。

ネット検索で出てきた製品

販売
メーカー
製品名ミノキシジル
含有量
アンファースカルプD
メディカル
ミノキ5
5%
加美乃素
本舗
加美乃素
デルタ
5%
大正製薬リアップX5
プラスネオ
5%
ロート製薬リグロEX55%
アート
ネイチャー
ラボモ
ヘアグロウ
ミノキシ5
5%
シーディミノカミング5%
興和リザレック
コーワ
5%
岩城製薬ミノグロウ5%
佐藤製薬アロゲイン55%
薬王製薬ミノキサン55%
ユーピー
エス
フィンジア
ミノキシジル
ローション5
5%
シオノ
ケミカル
ヒックス
ミノキシジル5
5%
富士化学
工業
FCI1%
(女性用)
ダイヤ製薬MXプラス
ローション La
1%
(女性用)

・・・など

ここに書かれているのは一部の商品で、同じメーカーから違うタイプのものなどもあり、まだまだたくさん出てきます。

一昔前はリアップしか見かけなかったミノキシジル製品ですが、20年の特許期間が切れて、ほかのメーカーからも続々ミノキシジル製品が作られるようになりました。

今の時代、手軽に手に入り、より身近で使えるようになった育毛剤、猫にとっては危険なものが増えてしまったと言えるかもしれません。

猫のミノキシジル中毒の症状一覧

横になっている猫の様子

猫がミノキシジルを体内に取り込み(口からの摂取と皮膚からの吸収)、ミノキシジル中毒を起こしてしまった場合に起きる症状と病例です。

症状・病例

  • 嘔吐(おうと)
  • よだれ
  • 頻呼吸(ひんこきゅう)
  • 咳(せき)
  • 呼吸困難(こきゅうこんなん)
  • 開口呼吸(かいこうこきゅう)
  • 脱力感(だつりょくかん)
  • 元気がない
  • 食欲不振
  • 頻脈(ひんみゃく)
  • 不整脈(ふせいみゃく)
  • 低体温(ていたいおん)
  • 痙攣(けいれん)
  • 低血圧(ていけつあつ)
  • 低体温(ていたいおん)
  • 抗窒素血症(こうちっそけっしょう)
  • 肝酵素上昇(かんこうそじょうしょう)
  • 胸水(きょうすい)
  • 肺水腫(はいすいしゅ)
  • 嗜眠(しみん)
  • 心筋障害
  • 心不全

・・・など

※嗜眠とは意識レベルの下から3番目の状態で「意識清明」「明識困難」「昏蒙」「傾眠」「嗜眠」「昏迷」「昏睡」の順に意識レベルが低下していきます。この区分け方は現在ではあまり使われていない傾向ですが、サイトに嗜眠と載っていたのでそのまま掲載しました。

このような症状などが起きる可能性があります。

どれが起きても猫にとってはとても苦しい症状です。場合によっては最悪の事態・・・といった症状もあるのでミノキシジルの扱いには細心の注意が必要です。

体内に取り込んでから中毒症状は早くて1時間程度で発症します。要はすぐに発症する可能性があります。

その後は時間の経過とともに様々な症状が出る恐れがあり、最長で3~4日程度まで続きます。

※上記の症状は初期の症状と、重篤な後期の症状が混ざっていますが、明確に区分けすると間違った判断をしてしまう可能性があるため、区分けはしていません。

アメリカでは19年間で犬と猫におけるミノキシジルに関する症例が「211症例」

AAHA

アメリカの動物病院協会(American Animal Hospital Association)によると、2001年から2019年までの19年間でミノキシジルに関する症例が、犬と猫で211症例確認されています。

あるデータの中でアメリカでは全世帯数が約1億2,680万世帯あり、そのうちの約37%にあたる4710万世帯が猫を飼っているとされています(米国世帯数|ピュー研究所 (pewresearch.org)/ 2021-2022 APPA全国ペット所有者調査 (americanpetproducts.org))。

また別のデータにはアメリカでの猫の飼育率が28%(ペット飼育率70%うち猫39%|「グローバルのペット飼育率調査」 (gfk.com))となっています。

これらのデータからおおよそ3割程度の世帯で猫が飼われていて、その世帯数は約4200万世帯です。

ミノキシジル中毒が起きる確率

ミノキシジル症例が19年で211症例というところから、1年間でおよそ11件。これらのデータから算出するミノキシジル中毒になる確率は「0.000026%」で、宝くじの2等に当選する確率に近く、ほぼ当たらないであろうという確率になっています。

しかしこの確率は分母が育毛剤を使用している人ではないため、正確な数値とは言えません。正確な数値を出そうとするとアメリカの全国民の内、育毛剤を使用している世帯数が分からなければなりません。

残念ながらそのようなデータは存在しないので、日本での育毛剤使用率を参考に仮の使用率を算出しました。

日本での育毛剤の使用率は頭皮が気になる人の約20%が使用している

データ①

頭皮が気になる人 74.9%

頭皮が気になる人で育毛剤を使用している人 男性22.3% 女性19%

アートネイチャー|薄毛のケアに関する調査

データ②

薄毛に悩んでいる 85.4%

薄毛に悩んでいる人で育毛剤を使用している人 16.4%(最初にした対策)
⇒最初にした対策のため使用している率はもう少し高いと予想される

ウルクス|薄毛に関するアンケート調査

この二つのデータでは頭皮・薄毛が気になる人がおおよそ8割、そのうち育毛剤を使用している人が2割程度だということが分かります。

このデータをもとにアメリカでのミノキシジル中毒の起きる確率を算出すると次のようになります。

アメリカでのミノキシジル中毒の発生率はおおよそ61万分の1

アメリカでの猫を飼っている世帯数 約4200万世帯

8割の人が薄毛に悩んでいる
⇒3360万世帯

2割の人が育毛剤を使用している
⇒672万世帯

ミノキシジル中毒が起きる確率
⇒672万分の11 ⇒0.00016%

アメリカでのミノキシジル中毒の起きる確率は0.00016%となり、この確率は宝くじの3等に当選する確率に近い確率となっていて、思ったよりも非現実的な確率となっています。

しかしながら、ここでの対象となっているものは「命」です。命は1つしかありません。なので決して低くない数値と言えるのではないでしょうか。

この数値をどうとらえるかは飼い主さん次第ですが、ミノキシジル中毒は起きてしまった時の中等度・重度の確率が高いので、身近にミノキシジル(育毛剤など)がある方は細心の注意を払うようにしてください。

中毒症状の詳細は下記にて紹介しています。

実際にアメリカで起きたミノキシジル中毒87症例の詳細内容

221症例の中で中毒症状を有する詳細レビュー内容が公開されているのが87例です(猫62例、犬25例)。

ミノキシジルに関する症例数(犬猫2001~2019米国)

猫の方が症例数の割合が高くなっていますが、猫がミノキシジルを分解する酵素「エラスターゼ」を欠いているため、犬よりも影響を受けやすく、その影響によるものだと思われます。

猫の中毒症状の中で危険な中等度・重度の割合は約6割

中毒症状を起こした「62例」の猫の中で、より危険な状態である中等度・重度の症状になった症例は「37例」あります。

ミノキシジル中毒における猫の症状の中等度以上の割合

ミノキシジル中毒になってしまったら、半数以上の猫が危険な中等度・重度の症状を引き起こしてしまします。

またこのデータはミノキシジルを取り込んだ量などは考慮されていないので、もっと高い確率で重症化する可能性があります(1滴なめただけで死亡例有り:詳細は後述の海外で実際に起こった事例)。

猫の中等度以上の中でおおよそ20%の割合で最悪の結果を招く

猫が中等度・重度のミノキシジル中毒になってしまった場合、2割強の猫が最悪の結果を招いてしまったという結果が出ています。

猫のミノキシジル中毒の中等度以上のときの死亡率

21.6%という割合は、個人的には非常に高いと感じます。「命」は失ってしまったら二度と元には戻りません。

中等度以上の割合が約6割、その中での最悪の結果が2割以上もあるというのはとても高い確率で、いかにミノキシジルの扱いに注意をしなければならないことを表してるのではないでしょうか。

次のページでは、「日常生活での気を付けたい場面」と「海外で実際に起こった事例」を紹介。

次のページへ >