猫の多頭飼い|法律と条例

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【届出が必要】猫の多頭飼いの法律と条例「多頭飼育(飼養)届出制度」を解説

猫の多頭飼いをするときに届出が必要になる場合があるということをご存じでしょうか?

「多頭飼育(飼養)届出制度」という条例が自治体の判断で導入してもいいですよと、法律で定められています。内容は自治体で違うことがあり、6頭以上や10頭以上の場合といろいろな基準が存在します。

この条例を守らないと罰則なども決められていて、「知りませんでした、ごめんなさい」だけでは済まない状況となっています。ただし全都道府県、市区町村が対象ではないので、住んでいる自治体への確認が必須です。

この記事では、全都道府県、市区町村のホームページなどの情報から、対象の自治体を載せてあります。条例と法律の内容と一緒に確認して、幸せな多頭飼い猫くらしをできるようにしていきましょう。

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本記事のダイジェスト

  • 多頭飼いの法律について
  • 多頭飼いの条例について
  • 条例がある自治体一覧(都道府県・市区町村)
  • 届出の項目と届出方法
書いた人:tonko
tonko-猫3匹と暮らす人

猫の多頭飼いの頭数を管理する法律はない

日本の法律には「猫の多頭飼いは何匹まで」といった頭数に関する明確な決まりはありません。そのため多頭飼いをしたいと考えている人も頭数に関して、違法となる心配は不要と言えます。

多頭飼いの頭数制限の法律はありませんが、多頭飼育の注意点などの情報がまとめてある「多頭飼育対策ガイドライン」が環境省によって公開されています。

環境省の動物愛護管理に関する「多頭飼育対策ガイドライン」とは

「多頭飼育対策ガイドライン」は近年、SNSや報道などで取り上げられている多頭飼育崩壊や殺処分などの問題の解決の参考になるガイドラインです。

多頭飼育問題は他動物への影響だけでなく、飼い主や周辺環境にまで多大な影響が及ぶことから、解決するには動物愛護管理分野だけでなく社会福祉分野の行政職員や獣医師、精神医学と連携した施策展開が必要だと考えられています。

そこで環境省は専門家などを集めた「社会福祉施策と連携した多頭飼育対策に関する検討会」を設置し、多頭飼育問題の解決の参考となる「多頭飼育対策ガイドライン」を作成しました。

ガイドラインの内容は現状から解決法、解決時の注意点、事例など多岐にわたる

多頭飼育対策ガイドライン|抜粋
出典:多頭飼育対策ガイドライン
環境省-full.pdf (env.go.jp)

多頭飼育ガイドラインの概要

「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」は、環境省が発表している動物愛護管理に関するガイドラインです。このガイドラインは、多頭飼育に関する問題を解決するために、人や動物、地域社会との関係を考慮したアプローチを提案しています。以下にその主要なポイントを網羅的に解説します。

  1. 多頭飼育の問題意識:
    多頭飼育は、動物の適切な飼育環境や健康管理が困難になることが多く、動物福祉の観点から問題視されています。また、飼い主の社会的孤立や経済的負担が増大し、地域社会にも悪影響を及ぼすことが指摘されています。
  2. 多機関連携の推進:
    ガイドラインは、地域住民や行政、民間団体、専門家など多様な関係者が連携して、多頭飼育問題に取り組むことを推奨しています。特に、動物愛護管理、社会福祉、保健医療、公共衛生などの専門分野が協力することが求められています。
  3. 早期発見・早期対応:
    多頭飼育が問題となる前に、早期に発見し対応することが重要です。地域住民や関係機関が情報共有し、飼育状況を把握・監視することが求められています。
  4. 支援体制の構築:
    飼い主や動物に対する支援体制を整備し、多頭飼育問題の解決に向けた取り組みを支援します。具体的には、飼い主の相談窓口の設置や専門家によるアドバイス、経済的支援、避妊去勢手術の推進などが挙げられています。
  5. 教育・啓発活動:
    多頭飼育問題の解決には、飼い主や地域住民への適切な教育・啓発活動が不可欠です。ガイドラインでは、飼い主や地域住民に対して、動物愛護や適切な飼育方法、動物の健康管理、避妊去勢の重要性などについて理解を深めるための教育プログラムや啓発活動を行うことが推奨されています。
  6. 法律・規制の整備:
    多頭飼育問題に対処するために、法律や規制を整備し、適切な飼育環境や動物福祉の向上を目指すことが重要です。具体的には、飼育数の制限や飼育環境基準の設定、違反時の罰則などが検討されるべきとされています。
  7. 研究・調査の推進:
    多頭飼育問題の解決に向けて、現状把握や問題解析が必要です。ガイドラインでは、研究機関や専門家が協力し、多頭飼育の実態調査や原因分析、効果的な対策の研究開発を進めることが求められています。
  8. 成果の共有・評価:
    多頭飼育対策の取り組みにおいて、関係者が成果を共有し、評価・検証を行うことで、より効果的な対策が実施されることが期待されています。また、成功事例やノウハウの共有が、他の地域での取り組みの参考となり、全体として多頭飼育問題の解決につながることが期待されています。

多頭飼育ガイドラインの内容は私たち飼い主にとっても、参考となる情報もあり、一度は目を通しておきたい内容です。項目ごとのリンクを張り付けておくのでぜひご覧になってください。

動物愛護法によって多頭飼育の届け出を義務づけることができる

動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)によって、自治体ごとに多頭飼いの届出や指導をすることができることになっています。

「地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について動物の所有者又は占有者に対する指導をすること、多数の動物の飼養及び保管に係る届出をさせることその他の必要な措置を講ずることができる。」

出典:動物愛護法第九条

自治体によっては「多頭飼育(飼養)届出制度」と言われる条例があることがあり、従わなかった場合に罰則がある場合があるので注意が必要です。

【届出が必要】猫の多頭飼いの頭数は自治体によって違いがある

「多頭飼育(飼養)届出制度」は約4分の1にあたる自治体で取り入れられています。自治体ごとに〇頭以上の場合と決まりがあり、違反した場合は罰則などがあります。

届出は決められた内容を通知すればOKとなっていて、特に承認などの必要はありません(自治体によっては講習会への参加などがある)。

自治体の一覧は後述してあります。

"申請"ではなく"届出"のため決められた内容を通知するだけでOK

法律によって「申請」と「届出」には明確な定義があります。

「申請」とは

「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。」(行政手続法第2条第3号)

申請には「行政庁が諾否の応答をすべきこと」の文章があるため、申請した内容について承知するか承知しないかという返答が返ってきます。

一方で届出には「諾否の応答」という表現がないため、決められた内容を届出によって通知するだけとなっています。

「届出」とは

「行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。」(行政手続法第2条第7号)

「多頭飼育(飼養)届出制度」の届出が必要な自治体とその項目、届出方法

届出が必要な自治体一覧

届出が必要な項目

多頭飼育届出見本|神奈川県
出典:多頭飼養届出書見本|神奈川県

届出が必要な項目は自治体によって異なることがありますが、おおよその内容はこのようになっています。

  • 飼い主の氏名(法人の場合は法人名、代表者名)及び住所
  • 飼育場所の所在地や規模、構造
  • 犬又は猫の数、性別、避妊又は去勢手術実施の有無
  • 飼育方法や環境保全の方法

届出書を提出する場所

届出書を提出する場所|神奈川県
出典:多頭飼養届出書届出先|神奈川県

届出の項目と同様に自治体によっては異なりますが、一般的な届出先は保健福祉事務所や保健所衛生課、または動物愛護センターなどへの届出となっています。

  • 保健福祉事務所
  • 保健所
  • 動物愛護センター

届出の期間

届出は30日以内|埼玉県
犬猫を10頭以上飼っている方へ|埼玉県

届出は多くの場合基準となっている頭数を超えた時点から、30日以内に提出することが義務付けられています。

また途中での飼育頭数の増加、減少においても届出が必要となり、別途届出用紙が用意されています。

  • 基準頭数になった時点から30日以内

届出をしなかった場合

届出をしなかった場合は自治体ごとに罰則が決められています。

  • 埼玉県:3万円以下の過料
  • 石川県:5万円以下の過料
  • 大阪府:5万円以下の過料

目的はあくまで動物の保護、環境の保護にあります。いろいろな理由で飼えなくなった場合やお世話できなくなった場合などに、放置されてしまうことの無いように条例があります。

みなさんも自分が住んでいる各自治体のホームページなどを確認して、届出をするようにしましょう(届出書はホームページにあります)。

【届出が必要】多頭飼いの条例と法律のまとめ

猫の多頭飼いをするには都道府県によって、届出をする必要があります。もし届出をしなかった場合は罰則などもあるため、気を付けなければなりません。

意外と知られていないこの「多頭飼育(飼養)届出制度」。今一度、住んでいる自治体のホームページを確認して、届出の必要がある場合は早めに対応するようにしましょう。